長時間のフライトは、若い世代でも疲れるもの。ましてシニア世代にとっては、体調への影響が心配ですよね。
「高齢者が飛行機に乗っても大丈夫なのか」「エコノミークラス症候群って本当に怖いの?」「持病があるけど搭乗できる?」——こういった不安を持っている方も多いと思います。
この記事では、まずシニア世代が知っておくべき飛行機のリスクと対処法を旅行者目線で整理し、そのうえで快適に機内で過ごすための実践的なコツをご紹介します。
まず知っておきたい:シニアの飛行機リスクと旅行前の確認事項
① エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)
シニア世代が飛行機で最も注意すべきリスクのひとつがこれです。長時間同じ姿勢で座り続けることで足の血流が悪くなり、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。できた血栓が肺の血管を詰まらせると「肺塞栓症」となり、重症の場合は命に関わることもあります。
特に70代以上・高血圧・糖尿病・心疾患・静脈瘤のある方・肥満の方はリスクが高いとされています。
主な予防法は「水分補給」「定期的な足の運動」「着圧ソックスの着用」です。これらは後述の機内での過ごし方と完全に重なります。詳しいメカニズムや医学的な解説は、厚生労働省検疫所(FORTH)の公式ページが参考になります。
👉 エコノミークラス症候群について(厚生労働省検疫所・FORTH)
② 気圧の変化による体への影響
機内は地上より低い気圧(約0.8気圧)に設定されています。この気圧変化によって起こりやすいのが耳の痛み・お腹の張り・むくみの3つです。揚げ物や炭酸飲料を搭乗前に食べると、気圧変化でお腹が張りやすくなるのはこのためです。
また心疾患・呼吸器疾患(COPD・喘息)のある方は、低酸素状態になりやすいため注意が必要です。持病のある方は必ず出発前にかかりつけ医に相談してください。
③ 持病がある方・服薬中の方の注意点
時差のある海外旅行では、薬の服用タイミングがずれることがあります。渡航前にかかりつけ医に「時差がある場合の服薬スケジュール」を確認しておきましょう。またお薬手帳・処方箋の英文翻訳・医師の診断書(英文)を持参すると、現地で急な体調変化があった際に役立ちます。
④ JAL・ANAのシニア向けサポートサービス
不安がある方は、出発前に航空会社のシニアサポートサービスを活用することをおすすめします。
- JAL「シニアおでかけサポート」:チェックインカウンターから搭乗ゲートまでの案内、車いす手配、優先搭乗など。空港の「スペシャルアシスタンスカウンター」へ。
👉 JALお手伝いを希望されるお客さまへのご案内 - ANA「シニアらくのりサービス」:65歳以上のお客様のみでの搭乗の場合、チェックインカウンターから搭乗ゲートまでご案内。車いす・機内荷物収納のサポートも。
👉 ANAご高齢のお客様向けサポート(国際線)
どちらも事前申し込みが必要なものがあります。予約時または出発前に確認しておきましょう。
1. 服装は「着心地最優先」で機内モードに!
飛行機での移動時間は、短くても数時間、長ければ10時間以上にもなります。機内では気温の変化や乾燥、長時間座ることによる血流の悪化が起こりやすく、シニア世代の方にとっては快適な服装選びが旅の快適さを大きく左右します。
✅ 上半身:脱ぎ着しやすく、温度調整がしやすい服装を
- Tシャツや薄手の長袖カットソー+カーディガンやパーカーの重ね着スタイルがおすすめです。冷房が効きすぎていることも多い機内では、体温調整しやすい重ね着が基本です。
- ストールや大判のショールも一枚あると便利。首元の保温にもなり、ブランケット代わりにも使えます。
✅ 下半身:ゆったり&伸縮性のあるボトムスを
- ストレッチ素材のパンツやジャージ素材のゆるめパンツが最適です。タイトなジーンズやベルト付きのパンツは、座っているうちにウエストやお腹が圧迫されてつらくなります。
- 機内では座りっぱなしになるため、むくみ対策として「着圧ソックス」の使用もおすすめです。
✅ 靴:締めつけず、脱ぎ履きしやすいものを
- スリッポンタイプのスニーカーや軽いローファー、バレエシューズなどが理想的。足がむくむと靴がきつくなるので、機内では脱げるものがベターです。
- サンダルやヒールは避けた方が無難。トイレなどで立ち歩くときに安定感がなく危険です。
- 靴下は必ず持参しましょう。靴を脱いだあと、冷えや衛生面が気になるときにも重宝します。
✅ 機内快適グッズも併せて持参すると◎
- ネックピロー:首が疲れにくく、仮眠しやすくなります。
- アイマスク&耳栓:周囲の音や光を遮ってリラックスできます。
- 保湿マスク:乾燥対策に。特に喉が弱い方には必需品。
ポイントは、「締めつけない」「重ね着できる」「温度調整しやすい」「長時間座っても疲れにくい」こと。機内は移動空間というより「長時間いる部屋」と考え、リラックスできる服装で旅立ちましょう!
2. フライト前から始まる「水分補給と体調準備」
長時間のフライトは、身体への負担が大きくなるため、搭乗前からの体調管理がとても重要です。特にシニア世代は、乾燥や血行不良による体調トラブルが起こりやすいため、事前の準備で旅の快適さが大きく変わります。
✅ 水分は「前日から意識して摂取」を
- 機内は湿度が20%前後と非常に乾燥しています。そのため、フライト当日だけでなく、前日から意識して水分を摂ることが大切です。
- 具体的には、こまめにコップ1杯の水を1〜2時間おきに飲むのが理想。喉が渇いたと感じる前に飲むのがコツです。
- 利尿作用の強いコーヒーやアルコール、緑茶などは控えめに。
✅ フライト直前の食事は「軽め」に
- 搭乗前の食事は、消化の良いものを腹八分目程度に抑えるのがポイント。
- 例:おにぎり、うどん、温野菜、蒸し鶏などの胃に優しいメニュー
- 揚げ物や脂っこい食事、炭酸飲料などは、気圧の変化でお腹が張る原因になるので避けましょう。
✅ 体調を整えるためのチェックリスト
- 睡眠はしっかり取る(フライト前日は最低6時間以上の睡眠を)
- 服薬スケジュールを確認(時差がある場合は医師に相談)
- 乗り物酔いしやすい方は、酔い止め薬を準備
- 持病のある方は、医師の診断書やお薬手帳を携帯
- マスク、保湿クリーム、リップクリームなど乾燥対策グッズを機内持ち込みに
✅ 空港では水分補給を忘れずに
- 保安検査後、出発前の待ち時間にペットボトルの水を購入しておくと安心。
- 飛行機内では、水を頼んでも一度にたくさんはもらえない場合があるため、自分でも水分を確保しておくと安心です。
「飛行機に乗ってから体調を整える」のではなく、「乗る前から整えておく」ことで、体調トラブルを未然に防ぎましょう。特に海外旅行では、体調が崩れると現地での行動にも大きく影響します。少しの準備で快適な旅をスタートさせましょう!
3. 座席はトイレに近くて出入りしやすい場所を
長時間フライトでは、座席の位置選びが快適さを大きく左右します。特にシニア世代の方は、トイレの頻度や足のむくみが気になるケースが多いため、出入りしやすい座席を選ぶことが重要です。
✅ 通路側の席(Aisle Seat)を選ぼう
- 窓側の席だと、隣の人に気を遣って何度も立つのが大変。
- 通路側の席なら、自分のタイミングで自由に立ち上がれるため、トイレやストレッチもスムーズです。
- 特に夜間のフライトでは、隣の人が寝ていると動きにくいため、通路側がおすすめ。
✅ トイレの近く=安心感につながる
- トイレが近い座席だと、急な尿意でも安心。移動時間も少なくて済みます。
- ただし、トイレのすぐ横は人の出入りが多く、落ち着かないこともあるので「トイレから2〜3列離れた通路側」がベストバランス。
✅ 足元の広さも要チェック(非常口席や前方席)
- 足のむくみ防止のためにも、足元に余裕がある席を選ぶのが理想。
- 例:非常口の前、バルクヘッド席(壁のすぐ後ろ)、プレミアムエコノミー
- ※非常口席は安全上の理由から高齢者・身体に不自由のある方はご利用いただけない航空会社が多いです。事前に確認を。
✅ 座席指定は「航空会社の公式サイト」で事前に
- 航空券を予約したら、できるだけ早く座席指定をするのがおすすめ。
- 旅行代理店経由の場合も、予約番号を使って航空会社のウェブサイトから座席を確認・変更できることが多いです。
- LCCなど座席指定が有料の場合でも、快適さを優先して課金する価値あり。
✅ おすすめの座席位置例(エコノミー)
- 「通路側・トイレ近く・後方または中央のブロック」
- 「3席並びの通路側(ABC席ならC席など)」が立ちやすく、リラックスしやすい
長時間座ったままでいると、足がむくんだり、血栓(エコノミークラス症候群)になるリスクもあります。そのためにも、「出入りしやすさ」と「気兼ねなく動ける」座席を選ぶことが、シニア世代の機内の過ごし方を快適にしてくれます。
4. 長時間フライトでは「軽い運動」がカギ
長時間同じ姿勢でいると、血行不良や足のむくみ、最悪の場合はエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)になるリスクがあります。特にシニア世代の方は、意識的に体を動かすことが健康維持のカギです。
✅ 機内でもできる!座席での簡単ストレッチ
座ったままでもできる運動を、1〜2時間に一度のペースで行いましょう。
- 足首回し:足を軽く浮かせて、つま先で円を描くようにゆっくり回す(左右5回ずつ)
- かかと上げ運動:足を床につけたまま、かかとを上げ下げしてふくらはぎを刺激(10回程度)
- 膝の上げ伸ばし:太ももごと膝を持ち上げて、足を伸ばすように前に出す動作(左右交互に5回ずつ)
これだけでも足の血流がよくなり、むくみやしびれの防止になります。
✅ トイレついでに「機内の通路を歩く」
- 立ち上がれるタイミング(トイレ・食後など)で、通路を数メートル歩くだけでも効果的です。
- 機内での歩行は乱気流の影響を受けることも。シートベルトサインが消えているときに限り行いましょう。
✅ 座席で肩・首・腰のリフレッシュ
- 肩回し:両肩をゆっくり前・後ろに回す(各5回)
- 首のストレッチ:頭をゆっくり左右に倒し、10秒キープ
- 腰のひねり:背もたれを持って上半身をゆっくりひねる
✅ 水分補給+運動が相乗効果!
運動だけでなく、こまめな水分補給と組み合わせることが血栓予防に効果的です。1時間に1回、水やジュースを一口飲む習慣をつけましょう。
5. 必要な薬やサプリは機内持ち込みで
- 常備薬・処方薬は必ず機内持ち込みの手荷物に入れましょう。スーツケースに入れると、預け荷物が紛失したときに困ります。
- 液体薬は100ml以下の容器に入れ、透明ジッパーバッグに入れて保安検査に備えましょう。
- お薬手帳のコピーも一緒に持参すると、緊急時に現地の医師に薬の情報を伝えやすくなります。
6. 睡眠をうまくとる工夫
✅ 睡眠グッズで「快適な体勢」をつくる
- ネックピロー:首をしっかりサポートして、寝ている間の首の痛みを防ぎます。
- アイマスク:周囲の光を遮り、深い眠りを助けます。
- 耳栓やノイズキャンセリングイヤホン:エンジン音や周囲の話し声を軽減します。
✅ 睡眠をとるタイミングに注意
- 目的地の現地時間に合わせて睡眠をとると、時差ぼけの軽減につながります。
- 昼間のフライトでは、無理して眠ろうとせず、軽い読書や映画鑑賞でリラックスするのも◎。
✅ アルコールやカフェインは控えめに
- アルコールは機内の低気圧で酔いが回りやすく、脱水も促進するため控えめに。エコノミークラス症候群のリスクも高まります。
- カフェインは眠れなくなる原因になるため、眠りたい時間帯の3〜4時間前からは控えましょう。
✅ 睡眠導入アプリやリラックス音楽を活用
スマートフォンの睡眠導入アプリや、ヒーリング音楽・自然音などを活用して、リラックスした状態で眠りにつく工夫も有効です。
7. 機内エンタメを活用して気分をリフレッシュ
- 長時間フライトでは、映画・音楽・読書など機内エンタメを積極的に活用しましょう。気が紛れて時間の経つのが早く感じられます。
- 事前にスマートフォンやタブレットに映画・音楽・電子書籍をダウンロードしておくと、機内Wi-Fiがない場合でも楽しめます。
- 目を酷使しすぎると疲れるので、1時間に一度は画面から目を離して目を閉じるか遠くを見る習慣をつけましょう。
まとめ:体にやさしい過ごし方で、到着後も元気に観光を!
シニア世代にとって飛行機のリスクはゼロではありません。でも、正しく準備して機内での過ごし方を工夫すれば、そのリスクは大幅に下げられます。
| やること | タイミング |
|---|---|
| かかりつけ医に相談(持病・服薬スケジュール確認) | 出発1〜2週間前 |
| JAL・ANAのシニアサポートサービスに申し込む | 予約時または出発前 |
| 着圧ソックス・機内グッズを準備 | 出発前 |
| 前日から水分を多めに摂る | 前日〜当日 |
| 搭乗前の食事は軽め・炭酸・脂っこいものは避ける | 当日 |
| 保安検査後に水を購入 | 当日(空港) |
| 1〜2時間おきに足首・ふくらはぎを動かす | 機内 |
| アルコール・カフェインは控えめに | 機内 |
飛行機に乗ること自体は、正しい準備があればシニア世代でも十分に楽しめます。現地についてからが本番!到着後も元気に観光できるよう、機内での体調管理をしっかりしていきましょう。
海外旅行の疲れや体調管理についてはこちらの記事もどうぞ。
