はじめに:聞き取れないからとあきらめないで
年齢とともに英語のリスニングが難しく感じるのは、自然なことです。
「ネイティブの英語は早すぎて聞き取れない」「補聴器をしていてもうまく聞こえない」そんな悩みを持つ方でも、ちょっとした工夫でリスニング力は十分に伸ばせます。
この記事では、耳が遠くなってきた方でも安心して取り組める英会話リスニング対策をご紹介します。
1.高齢者におすすめのリスニング学習のポイント(具体例つき)
1-1. ゆっくり・クリアな英語を選ぶのが第一歩
高齢の方にとって、「スピードがゆっくり」「発音がはっきりしている」ことが、リスニング継続のカギになります。
最近は、初心者やシニア向けに作られた聞き取りやすい英語教材が多数あります。
おすすめ教材・YouTubeチャンネル:
- 『NHKラジオ英会話』
→ 明るく親しみやすい口調。月〜金で15分、スクリプト付き、アプリで何度でも聞けます。
→ 特に「中高年の学び直し英語」層に人気。 - 『Speak English with Mr. Duncan』(YouTube)
→ イギリス英語の先生が、ゆっくり&明確に発音。字幕付きで視覚的にもわかりやすい。 - 『BBC Learning English – English at the Movies』
→ 日常で使える表現をドラマ形式で紹介。速度は遅め&スクリプト付き。
ポイント:
YouTubeやPodcastで「slow English」や「English for beginners」と検索すると、聞き取りやすい素材が見つかりやすいです。
1-2. 聞こえるまで繰り返す「オーバーラッピング」が効果的
リスニングは、“1回で聞き取る”必要はありません。何度も聞いて、ゆっくり耳を慣らすことが大切です。
特におすすめの練習方法は「オーバーラッピング」。
やり方:
- 英語の音声とスクリプトを用意(NHKラジオ英会話やYouTubeなど)
- 音声を聞きながら、スクリプトを見て一緒に声に出す
- 口と耳を同時に使うことで、音が定着しやすくなる
初心者でもできる例:
音声:「Where is the restroom, please?」
スクリプトを見ながら:「ウェア イズ ザ レストルーム、プリーズ?」と一緒に言ってみる
こうすることで、「この音はこういう意味だったのか!」と気づく瞬間が増えます。
1-3. 聞き取れる範囲だけでOKと割り切る
「全部聞き取れないとダメ」と思わなくて大丈夫です。
聞き取れた単語だけをつなげて意味を推測する“キーワードキャッチ法”も有効です。
例:
英語:「Excuse me, where can I find a taxi around here?」
聞き取れた単語:「excuse me」「taxi」
→ 「タクシーの場所を聞いてるな」と理解できればOK!
最初は「全部理解」ではなく「ざっくり内容をつかむ」ことを目指しましょう。
1-4. 1日10分でも「毎日続ける」ことが上達の近道
高齢者の学習においては、短く・こまめに・毎日コツコツが一番効果的です。
「朝のラジオ体操のあとに10分だけ英語」など、習慣化を意識すると続きやすくなります。
おすすめアプリ(スマホ初心者でも使いやすい):
- NHKゴガク(NHK公式)
→ ラジオ英会話をスマホでいつでも聞ける。シンプルで操作がわかりやすい。 - Real英会話(有料アプリ)
→ 旅行や日常会話に特化。ネイティブの発音で学べて、スロー再生・リピート機能もあり。
以上のように、聞きやすい音声+繰り返し練習+少しずつの継続を意識すれば、年齢に関係なく英語リスニングは上達します。
「聞こえた!」の体験を重ねて、海外旅行に自信をつけていきましょう!
2.補聴器を使っている方のリスニング対策(具体的な工夫とおすすめ機器)
年齢とともに補聴器を使う方も増えてきましたが、英語リスニングとの相性に悩まれる方も少なくありません。
「音が割れて聞きにくい」「ヘッドホンと補聴器が干渉する」などの課題に対して、工夫や機器選びで快適な学習環境を作ることができます。
2-1. 補聴器と相性のよい音声再生方法を選ぶ
補聴器使用中に通常のイヤホンやヘッドホンを使うと、ハウリング(ピーピー音)や音質の劣化が起きることがあります。
そのため、補聴器と相性の良い再生スタイルを選ぶことが大切です。
おすすめの音声再生スタイル:
- スピーカー再生(スマホやタブレットの内蔵スピーカー)
→ シンプルですが効果的。部屋が静かなら、これだけで十分学習可能です。 - 骨伝導イヤホン(補聴器と併用しやすい)
→ 耳をふさがず、骨から音を伝えるので、補聴器と干渉しません。
人気機種例:
- Shokz(旧AfterShokz)OpenMove、OpenRunなど
- Bluetooth対応補聴器(スマホと直接接続)
→ 最新の補聴器は、スマートフォンと直接ペアリングして音声を聞くことが可能。
→ アプリで音量や音質も調整できます。
例:
- オーティコン(Oticon More)
- フォナック(Phonak Audeo)
- リサウンド(ReSound ONE)
2-2. 音質・再生速度を自分に合わせて調整しよう
音声が早すぎたり、高音が強すぎると聞きづらく感じることがあります。
そこで、音声再生アプリの**「速度調整」や「イコライザー設定」**を活用しましょう。
おすすめアプリと機能:
- YouTube(無料)
→ 再生速度を「0.75倍」や「0.5倍」に調整可能
→ 字幕機能も活用すれば理解度アップ - NHKゴガクアプリ
→ スピード調整、繰り返し再生、スクリプト表示に対応 - 英語学習アプリ「abceed」(一部無料)
→ 教材に合わせた速度変更ができ、聞き取りやすい設定にできる
補聴器メーカーの専用アプリもチェック!
多くの補聴器メーカーは、スマホ用の音質調整アプリを用意しています。
そこから「英語学習用」の設定プリセットが選べることもあります。
2-3. 聞き取りにくい単語は「見て覚える」工夫を
補聴器を使っていても、英語の音が似て聞こえたり、子音の違いが分かりにくいことがあります。
そんな時は、「目で見て確認できる」学習を組み合わせましょう。
おすすめの方法:
- 字幕付き動画(YouTubeやNetflixなど)で学習
→ 音声と文字を同時に確認し、認識力を高める - 文字起こしアプリを活用する
→ Otter.ai や Google Live Transcribe を使えば、ネイティブの英語もリアルタイムで文字に変換できます。 - 英語フレーズカードを印刷して手元に置く
→ よく使う旅行英会話表現を事前に確認しておけば、実践でも安心です
2-4. 無理せず「聞こえる範囲」で学習を楽しむ
補聴器を使っていても、「全部を完璧に聞き取ろう」とすると疲れてしまいます。
大事なのは「聞き取れた部分を活かすこと」。
実践のコツ:
- 単語だけでも聞き取れたらOK(例:「taxi」「hotel」など)
- わからなかった部分は、相手に「書いてもらう」などの対応策を用意
- 聞き返すことを前提にして、「自信をもって聞き返す表現」を身につけておく
3.聞き取れなくても伝わる!補助ツールを活用しよう
「英語が聞き取れなかったらどうしよう…」と不安に感じる方は多いですが、今は聞こえなくても伝える手段がたくさんあります。
スマートフォンを上手に使えば、海外でも安心してコミュニケーションができます。
3-1. 音声翻訳アプリでその場を乗り切る
英語が聞き取れなかった時は、「すみません、翻訳アプリを使っていいですか?」と伝えてスマホに頼りましょう。
おすすめ翻訳アプリ(無料・使いやすい):
- Google翻訳
→ 音声入力・読み上げ・オフライン対応。音声の自動認識で、相手の話した内容を自動翻訳して表示。
→ 例:「Where is the restroom?」→ 「トイレはどこですか?」 - ポケトーク(専用端末 or スマホアプリ)
→ 話しかけると自動翻訳+音声出力。高齢者にもわかりやすい設計。
→ 海外旅行でもサポート体制あり(Wi-Fiなしでも使えるモデルも)
使い方の一例:
- 自分のスマホに「話す」→ 英語で音声再生
- 相手が話したら、スマホが聞き取って翻訳表示
- 必要に応じて画面を見せながらやりとりする
3-2. フレーズメモを紙で持ち歩くと安心
スマホが使えない場面(電池切れ、電波なし)でも、手書きの英語フレーズカードがあれば安心です。
例:トラブル時に使えるカード文例
- I can’t hear well. Could you write it down?
→ よく聞こえません。書いていただけますか? - Please speak slowly.
→ ゆっくり話してください。 - Can you point it out on the map?
→ 地図で指さしてもらえますか?
ポイント:
- 視力にも配慮して、大きめの文字&カタカナ読みつきで用意
- 「ホテルチェックイン」「レストラン注文」「空港」など、場面別にまとめると便利
3-3. 地図・写真・ジェスチャーも立派なツール!
言葉に頼らず、「見せる・指さす・身振り」を使うだけでも、十分伝わります。
特にリスニングに不安がある方は、視覚情報を最大限に活用しましょう。
活用アイデア:
- Googleマップで目的地を表示し、見せる
- スマホに「食べたいメニューの写真」を保存して見せる
- スマホの翻訳アプリで「文字だけ表示」に切り替える
- 紙の地図に「〇印」をつけて相手に指差してもらう
また、表情や身振りも大切です。ニコッと笑顔で「Help me, please!」と伝えるだけで、ほとんどの人が親切に対応してくれます。
4.旅行中のリスニングに役立つ工夫(聞こえにくくても慌てないコツ)
旅先では、空港・ホテル・レストランなどで英語を聞き取る場面が多くあります。
でも、すべてを完璧に聞き取る必要はありません。
少しの工夫と心構えで、聞こえにくくても安心して旅を楽しむことができます。
4-1. よく使うフレーズだけは「耳で覚えておく」
旅先でよく使うフレーズは、事前に繰り返し聞いて、耳になじませておくと安心です。
長い文章ではなく、「ワンフレーズ」だけでOK!
例:旅先でよく聞く英語フレーズ(リスニング対策におすすめ)
- “Next, please.”(次の方どうぞ)→ 空港やレジでよく聞きます
- “How many nights?”(何泊ですか?)→ ホテルでチェックイン時に聞かれる
- “Would you like anything to drink?”(お飲み物はいかがですか?)→ 機内で使われる定番表現
ワンポイントアドバイス:
これらを事前に音声付きアプリやYouTubeで何度も聞いておくと、本番で耳が反応しやすくなります。
4-2. 周囲の「音の手がかり」を活用する
聞こえにくいときは、言葉以外のヒントを頼りに状況を理解しましょう。
例:
- 空港や駅では「アナウンス+電光掲示板」両方を確認
→ アナウンスが聞こえなくても、出発ゲートや搭乗時刻は画面で確認できます。 - レストランでは「周囲の人の行動」を参考に
→ 料理を注文する流れや、会計のタイミングなどを周囲から学ぶこともできます。 - ホテルでは「受付スタッフのジェスチャーや表情」に注目
→ 指差しや笑顔など、非言語コミュニケーションが大きな助けになります。
4-3. 聞き返すときの“安心フレーズ”を覚えておく
リスニングに自信がなくても、落ち着いて聞き返すことでトラブルを防げます。
高齢者にも使いやすい聞き返しフレーズ:
- “Sorry, could you say that again?”
→ すみません、もう一度言っていただけますか? - “Slower, please.”
→ ゆっくりお願いします。 - “Could you write it down?”
→ 書いてもらえますか?
ポイント:
「聞き返してもいい」と自分に許可を出すことで、不安が減り、耳もリラックスして聞きやすくなります。
4-4. 「旅のしおり」を自分用に作っておく
聞き取りに不安がある方は、**自分専用の“旅のしおり”**を作っておくと安心です。
しおりに書いておくと便利な情報:
- 滞在ホテルの名前と住所(英語表記で)
- よく使うフレーズ一覧(例:「トイレはどこですか?」)
- 使う交通機関の時刻や経路(あらかじめGoogleマップで調べて印刷)
- 翻訳アプリの使い方メモ
紙で持っておけば、スマホが使えない場面でも落ち着いて対応できます。
4-5. 音の出るアプリはイヤホンを使わずスピーカーで
補聴器をお使いの方や耳が遠い方は、スマホの音声を直接スピーカーから出す方が聞き取りやすいこともあります。
具体的な活用方法:
- ホテルの部屋で、復習用にゆっくり再生する(例:英語フレーズアプリ)
- ガイド音声付き観光アプリを利用(例:Google Arts & Culture など)
- 相手に聞いてもらうときも、スピーカー再生なら画面を見せながら一緒に確認できます
まとめ:聞こえなくても、伝わる英語はあります
リスニングが苦手でも、諦める必要はまったくありません。
「聞こえやすい音声を選ぶ」「補助ツールを使う」「視覚情報も活用する」ことで、旅行中の英会話はぐっと楽になります。
聞こえる範囲で大丈夫。伝える力は、年齢に関係なく伸ばせます!